伊庭町を中心に広がる「伊庭内湖の農村景観」が、6月15日に開かれた国の文化審議会で、重要文化的景観に選定するよう、林芳正文部科学相に答申されました。新聞各紙でも大きく取り上げられています。
手続きが進めば、東近江市初の選定となり、県内の重要文化的景観は7件になります。
伊庭内湖の農村景観は、伊庭内湖と、それに接続する河川や水路、集落、水田、伊庭山からなる260.1ha。集落内には水路が張り巡らされ、水面近くまで下りられる「カワト」が各所にあります。以前は、地区内の主な移動・運搬手段は、この水路を使った田舟でした。石垣で築いた水路の上に直接家が建つ「岸建ち」が残り、水辺の暮らしを伝えています。
伊庭の景観は、2015年に、日本遺産「琵琶湖とその水辺景観-祈りと暮らしの水遺産」を構成する一部としても認定されています。
今後、「住民の暮らしの場」とのバランスをとりながら、地域振興や観光振興を図っていくことが重要です。
地域における人々の生活又は生業及び当該地域の風土により形成された景観地で我が国民の生活又は生業の理解のため欠くことのできないもの(文化財保護法第二条第1項第五号より)。
文化的景観は,日々の生活に根ざした身近な景観であるため,日頃その価値にはなかなか気付きにくいものです。文化的景観を保護する制度を設けることによって,その文化的な価値を正しく評価し,地域で護り,次世代へと継承していくことができます。
文化的景観の中でも特に重要なものは,都道府県又は市町村の申出に基づき,「重要文化的景観」として選定されます。
重要文化的景観に選定されたものについては,現状を変更し,あるいはその保存に影響を及ぼす行為をしようとする場合,文化財保護法により,文化庁長官に届け出ることとされています。ただし,通常の生産活動に係る行為や非常災害に係る応急措置等においては,この限りではありません。
また,文化的景観の保存活用のために行われるさまざまな事業,たとえば調査事業や保存計画策定事業,整備事業,普及・啓発事業に対しては,国からその経費の補助が行われます。
重要文化的景観の選定制度は,平成16年の文化財保護法の一部改正によって始まった,新しい文化財保護の手法です。
平成30年2月13日現在,全国で61件の重要文化的景観が選定されています。
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